「タイムリープって、本当に可能なんだろうか…」と考えたことはありませんか。
近年、タイムリープをテーマにしたアニメや小説などが広く流行しています。
こうなってくると、まるでタイムリープは「本当に実現可能かもしれない…」なんていう気がしてきますよね。
そこで今回は、タイムリープが実現可能だと仮定し、その場合の問題点について、お話をしていきたいと思います。
タイムリープとは?
まず初めに、タイムリープがそもそもどういうものなのか?について、少しおさらいしておきましょう。
タイムリープとは、一言で言えば「世界全体の時間を戻す」という能力です。
タイムマシンのように機械や道具によって行われるのではなく、あくまでも「タイムリープ」という能力を持った「能力者」が行うものです。
仮に、世界全体の時間を戻す、という能力が実在したとすると、2つの問題点が生じます。
1.世界線が増えるだけ
1つめの問題は、能力者がタイムリープをする度に、「世界線」が増えてしまうことです。
世界線が増える…? 耳慣れない言葉かもしれませんね。
簡単に言うと、「今の世界」と「変えた過去の世界」が「別個に存在」してしまうという意味です。
時間を戻しても…
例えば、あなたがタイムリープの能力者だったとします。
そして、高校の「運動部」の生活に後悔の念を抱いていて、「高校では文化系の部活に入って、もう一度やり直したい」と考え、時間を戻す…という場合。
この時、アニメや小説などでは、タイムリープの能力が発動し、能力者は過去の高校の入学式の日に戻って、文化系の部活に入ることになります。
しかし、ここで問題となるのが「世界線」です。
タイムリープが発動した時、運動部を卒業した「現在」の時間はどこへ行ってしまったのでしょうか。
現代の小説やアニメでは、「宇宙全体が巻き戻った」という設定が主流です。
しかし、たった1人の能力者が、「宇宙全体を巻き戻して、現在を消し去る」というのは、やはり無理があります。
現実的に考えると、タイムリープをしても、現在が消えてなくなるわけではなく…
「世界線が増えて、能力者の意識は別の世界線に移動するだけ」と考えるのが妥当です。
現在はなくならない
つまり、上記の例で、過去に「運動部」に所属し、後悔している現在…
この現在までの時間は、消えて無くなるわけではなく、タイムリープの能力とは一切無関係に、そのまま現在から未来へと継続していく…
というのが、時間旅行についての一般的な認識です。
つまり、現在は、「運動部だった世界線」です。
そして、あなたがタイムリープを発動させ、高校で文化系の部活に入った時点で、新しい別の世界線が生まれることになります。
こうして、運動系の部活だった世界線と、文化系の部活だった世界線に枝分かれし、それぞれの世界が別個に存在していくわけです。
世界線が増えるだけ
こうなると、タイムリープの能力によって、「過去をもう一度やり直した」ように見えても…
本来の、運動部だった世界線はその後も続いていくわけですから、「後悔し続けるあなた」が消えてなくなるわけではない…ってことです。
タイムリープをしたところで、「過去が変わる」のではなく、もう一つ別の世界が増えるだけなんです。
これはいわば、時間旅行におけるルールのようなものです。
アインシュタインも知っていた?
ちなみに、このことを一番初めに指摘したのは、かの相対性理論で有名なアインシュタイン博士です。
アインシュタインは、時間旅行について、次のようなコメントを残しています。
「仮に、時間旅行で過去へ行けるとしたら、その行き先は、今の世界線の過去ではなく、別の世界線の過去の時点に旅行するにすぎない」と。
つまり、世界線という概念は、近年になって急に言われ始めたわけではなく、アインシュタインの時代から、すでに想定されていたことなんですね。
2.記憶も消える
タイムリープのもう一つの問題点は、「能力者の記憶が残るとは限らない」という点です。
つまり、仮にタイムリープの能力者がいて、本当に時間を過去に戻すことができたとしても…
「その能力者の記憶自体も、過去に戻ってしまうのではないか」ということです。
タイムリープ前の記憶は…
こうなると、例えば、タイムリープで時間を2年前に戻したとしても…
能力者の記憶も、2年前に戻ってしまうわけですから、これではタイムリープした意味が全くありませんよね。
この矛盾をテーマに取り上げたアニメが、『サクラダリセット』という作品です。
『サクラダリセット』では、「タイムリープの能力を持った少女」が登場しますが、この少女は、タイムリープをした後、記憶が残りません。
そのため、タイムリープをしたかどうかも、本人には全く覚えがない、という設定です。
この設定は、タイムリープというものの矛盾を的確に表現しています。
つまり、近年のタイムリープを扱ったアニメ作品の多くは、「能力者は記憶を持ち越せる」ということが前提になっていますが…
もしも本当にタイムリープの能力が存在するなら、「記憶を持ち越せない可能性の方が高い」と言えます。
なぜなら、世界全体の時間が戻ってしまうなら…
「能力者の脳細胞や記憶、DNAなども、全て過去に戻るはず」
と考えるのが、自然だからです。
実現は可能?
さて、上記で、タイムリープの矛盾について…
・現在の時間は消えず、過去は変わらない。別の新しい世界線が増えるだけ
・もしもタイムリープを発動させたら、能力者の記憶も過去に戻る
以上、2点の矛盾をご紹介しました。
しかし、だからといって、「タイムリープはできない」という結論を導きたいわけではありません。
それよりも、むしろ重要なのは…
「仮に、タイムリープという能力が本当に存在し、発動させたとしても、誰もそのことを感知できず、且つ、過去は変えられない」
ということなんです。
まとめ
「人間が構想したものは必ず実現する」という言葉があります。
現に、テレビ電話や、宇宙旅行など、かつて人類が空想したもののいくつかは、既に実現しています。
こうなると、タイムリープも、ひょっとしたら本当に存在する能力なのかもしれません。
しかし、タイムリープが発動したことを地球上の誰一人として感知できず、過去も変えられないなら…
タイムリープの能力を使っても使わなくても、結果は「ほぼ同じ」ではないでしょうか。